副業・兼業を認めるメリットと留意点、その対応について

2021年10月15日(金)

副業・兼業を認めるメリットと留意点、その対応について

<なぜいま副業・兼業を促進しているの>

副業・兼業は、労働者の所得を増やすこと以外に、起業の手段や第2の人生の準備として有効と考えられています。
また、人生100年時代を迎えて、若いうちから、自らの希望する働き方を選べる環境を作っていくことが必要です。このようなことから現在、副業・兼業などの多様な働き方への期待が高まってきています。

<企業は副業・兼業を認めないといけないの>

副業・兼業に関する裁判例では、労働者が労働時間以外の時間をどのように利用するかは、基本的には労働者の自由であるとされており、裁判例を踏まえれば、原則、副業・兼業を認める方向で検討する必要がありそうです。
副業・兼業を禁止している企業や一律許可制にしている企業は、まずは、原則副業・兼業を認める方向で就業規則などの見直しを行い、労働者が副業・兼業を行える環境を整備してみてはいかがでしょうか。

<副業・兼業の企業のメリット>

副業・兼業は労働者だけにメリットがあるわけではありません。企業側にも下記のようなメリットがあります。

  1. 労働者が社内では得られない知識・スキルを獲得することができる。
  2. 労働者の自律性・自主性を促すことができる。
  3. 優秀な人材の獲得・流出の防止ができ、競争力が向上する。
  4. 労働者が社外から新たな知識・情報や人脈を入れることで、事業機会の拡大につながる。

<副業・兼業の企業の留意点>

企業が副業・兼業を認めるにあたって留意することは、必要な就業時間の把握・管理や健康管理への対応、職務専念義務、秘密保持義務、競業避止義務をどう確保するかという懸念への対応などです。

<副業・兼業を進めるうえで企業の対応>

  1. まず就業規則で、原則的に労働者は副業・兼業を行うことができることと、例外的に下記①~④のいずれかに該当する場合は副業・兼業を禁止または制限することができるようにしておきます。
    ① 労務環境上の支障がある場合
    ② 業務上の秘密が漏洩する場合
    ③ 競業により自社の利益が害される場合
    ④ 自社の名誉や信用を損なう行為や信頼関係破壊する行為がある場合
  2. 次に注意しないといけないのは、「労働時間の通算管理」です。労働者が雇用される形で副業・兼業を行う場合、原則として、自社と副業・兼業先の労働時間を通算して管理する必要があります。
  3. 労働時間を通算して管理するために、まずは、労働者が行う副業・兼業の内容を確認する必要があります。副業・兼業開始前に、労働者からの申告などにより、必要な情報を確認しましょう。
  4. 副業・兼業の内容を確認したら、次は労働時間の通算です。労働時間の通算方法は二通りで、原則的な方法と簡便な方法(「管理モデル」といいます。)があります。
    労働時間を通算して管理するにあたって自社で取り入れやすい方法を採用し、自社と副業・兼業先の労働時間を確実に通算するようにしましょう。
  5. 副業・兼業を進める上では、長時間労働になり労働者の健康が阻害されないよう、過重労働を防止することや健康確保を図ることが重要です。
    労使でコミュニケーションを図り、労働者の健康確保に必要な措置を講じるようにしましょう。

主なポイントについて述べましたが、これ以外にも考えなければならない制度があります。

2021年10月27日(水)に予定している 定例セミナー Vol.61 『副業・兼業制度導入の留意点と事例』ではより詳しい内容について弁護士、社会保険労務士が解説致しますので是非参加お申込みください。
ご都合の合わない方には後日動画の配信もございます。
詳細はセミナー紹介ページを参照ください。

https://www.sendai-elcc.jp/seminar/seminar576/

皆様の参加をお待ちしております。



特定社会保険労務士 北山 茂治

北山FP社会保険労務士事務所 代表

北山FP社会保険労務士事務所のポリシーは「人生100年時代に『気力・体力・財力3拍子揃った元気シニアをたくさん輩出する」そのお手伝いをすること』です。
そのために、働く人も働く場である法人も元気にするお手伝いをするため、働き方改革をはじめとして助成金・就業規則の作成、ライフプラン・年金・医療・相続に関するコンサルティングを行っています。
仙台雇用労働相談センターの相談員としては、2018年度から参画しています。

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