労働時間制度について知っていますか?

2022年1月27日(木)

労働時間制度について知っていますか?

本日は、労働基準法に定められている代表的な労働時間制度について書きたいと思います。

皆さんは労働時間と言いますと1日8時間、1週間40時間の労働時間を思い浮かべる方が多いと思います。しかし、労働基準法には、これ以外に利用できる労働時間制度が定められています。本日は、この、1日8時間1週間40時間以外の労働時間制について代表的なものをいくつか書かせていただきます。

《特例事業所》

商業、映画・演劇業、保健衛生業、接客娯楽業の事業で且つ、常時使用する労働者の人数が10人未満の事業所は、特例事業所と言って、1日8時間、1週間44時間の労働が認められています。ですので、この特例事業所の制度を利用すれば、例えば、月曜から金曜までは1日8時間労働、土曜日は、4時間労働にすることも可能になります。また、後述する一か月単位の変形労働時間制を併用することにより、月曜から金曜(土・日休日)の労働時間を1日8時間30分などの労働時間に設定することも可能になります。この場合1日8時間を超えて労働しても8時間30分までは、時間外労働にはなりません。ただし、後述する一年単位の変形労働時間制との併用はできませんので注意が必要です。

《一か月単位の変形労働時間制》

一か月単位の変形労働時間制とは、事業の繁忙期と閑散期などに合わせて労働時間を調整できる制度になります。一か月以内の期間・期間内の総労働時間を設定し、その範囲内の中で、働く制度で、一か月以内の定められた期間の平均では、法定労働時間を超えない範囲で、特定の日や週で法定労働時間を超えて労働させることが出来る制度になります。

具体的には、一か月のうち月初の1週間は忙しいが、月末の1週間は暇な事業所があったとします。この事業所の場合、月初の5日間は1日10時間働いてもらい、月末の5日間は1日6時間働いてもらうというようなシフト組むことが可能ということになります。この例において、1週間ごとに見ると月初の1週間は、1日8時間を超えて働いていますし、1週間で50時間の労働になりますので40時間(特例事業所の場合44時間)を超えていますが、月末の労働時間に短いシフトを組んでいますので、平均しますと1週40時間の法定労働時間を満たすことになり、時間外労働が発生せず、結果として時間外労働手当(残業手当)も発生しないということになります。

この、一か月単位の変形労働時間制は、特例事業所と併用できますので、一か月を平均した場合の週の労働時間を44時間に設定することも可能になります。

《一年単位の変形労働時間制》

一年単位の変形労働時間制は、上記、一か月単位の変形労働時間制を一か月を超えて一年以内の複数月で定めた期間の総労働時間を設定し、その期間を平均して法定労働時間を超えない範囲で働く制度で、その期間の中で、特定の日、週で法定労働時間を超えて働かせることが出来る制度になります。ですので、この一年単位の変形労働時間制は、簡単に言いますと、上記の一か月単位の変形労働時間制を一か月を超えて一年以内の複数月にし、その複数月で平均して法定労働時間以内でシフトを組んで働いてもらう制度になります。

ただ、この二つの制度は、別条文で定められておりますので、制度採用についての手続きや、運用についての制限などは変わってきますので、注意が必要です。

《まとめ》

いかがでしたでしょうか、労働時間と言いますと皆さん真っ先に思い浮かべるのは、1日8時間、1週40時間の労働時間なのではないでしょうか。しかし、労働時間と言っても法律では、上記のようにいくつかの労働時間制度を規定しています。ですので、働き方の多様化や、業務の複雑化などで、法律が、時代に合わないと言われることもありますが、上記のような法律に定められた制度を最大限利用していただき事業所ごとに合った労働時間制を採用していただければと思います。
また、採用にあたっては従業員の健康管理にも十分配慮いただくようお願いします。

制度の内容をもう少し詳しく聞きたいという場合は、お気軽に仙台市雇用労働相談センターへ相談ください。


特定社会保険労務士 古澤 伸之(古澤伸之社会保険労務士事務所代表)
仙台市雇用労働相談センター相談員

開業以来、地元仙台市を中心に依頼があれば、市外・県外の遠方であってもできるだけお客様のために、対応することを心掛けています。
各種手続きは元より、お客様に合わせた給与計算業務そして、お客様が抱えている課題や問題の解決に向けて、労務問題にも様々な知識で対応解決しています。また個別労働紛争のあっせん代理の経験も積んでいます。

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